「自分に原因があるのでは?」と感じ始める

ほんとうに、見事と言るくらいに、ぼくの心と妻のカラダは同調していました。

施術の予約が少ない日があって、

「よし、今日こそアレとアレとアレをやろう」

と溜まっている仕事を片付けようと気合を入れている日ほど、妻が体調を崩すのです。

ぼくは仕事ができなくなり、「やる気」を削がれイライラする。

それを感じた葉月は「わたしは要らないんだ。邪魔な人間なんだ」と感じ、体調を崩す。

ぼくはまた仕事ができなくなり、「時間がない!」と苛立つ。

そんな悪循環が続いていました。

ついには離婚届も飛び出して、書いたり破ったり書いたり破ったりを繰り返しました。

しかし、ここまでくると、さすがの僕も、

「これは、ぼくの内部になにか原因があるのでは?」

と思うようになってきました。

思い返すと、そのころ会った人にはいつでも

「妻が… 妻との関係が、夫婦が…」

という相談をしていました。

それがはじめのころは愚痴ばかりだったのです。

「うちの妻はおかしい。ヒステリックだ。感情的だ。間違っている。ありえない」

そういうふうに捉えていたときは何も変化がありませんでした。

けれども、「妻との問題はじぶんの中にある何かを映し出しているのかもしれない」と気が付いたとき、「繰り返し」から徐々に変化が出てきた。

そして、ぼくはだんだんと仕事の時間を減らしていったのです。

開業当初には決まっていなかった「ごはんの時間」も12時と17時半と決め、そこから1時間は「休み時間」として予約を取らない。

休みの日には仕事をしない。

などなど、ほんとうにすこしずつだけれども、仕事の時間を減らし、家族との時間を増やしていきました。

休むことは罪悪感と焦りを感じてとても苦痛だったけれども、その反面、徐々に徐々にケンカが減って、妻も体調を崩すことが減ってきました。

ある空手家の先生との出会い

さて、そんななかで、ぼくは整体研究にいそしんでいました。

「もっと成果を上げたい」

「短期間、短時間で痛みを取りたい」

「効果を持続させたい」

などなど、色々な欲があり、セミナーに行ったり、DVDを買ったり、本を買ったり、どんどん知識を増やしていった。

2013年には、2か月だけ毎週東京に通ってあたらしい整体を学んだりもしました。

しかし、その割に、とくに効果があがった感じもなく、「どうしたら、もっと効果が上がるのか?」と悩んでいました。

そんなときに出会ったのが「ある空手家の先生」でした。

とはいえ普通の空手ではなく、空手と合気道を融合したような独創的な武術でした。

ぼくは本や動画を見て、「これは面白そうだ!」とさっそく体験稽古に参加させていただいた。

 すると、ふつうの合気道や空手の稽古とぜんぜん違う。

見たところ武道家の方もいるようだが、明らかに武道や格闘技をやってなさそうなオバちゃんやオジサンが、愉しそうに稽古しているのです。

武道の稽古にありがち武張った感じは、一切ありません。

みんなが笑っている。

「強くなろう」という感じではなくて、それでいて健康法という感じでもなく、強いて言うなら「遊んでる」という表現がぴったりくる。

その後、曜日の関係で連続的に通うことはかなわなかったが、その不思議な空手の先生との出会いは、僕にとって大きな方向転換となったのです。

タッピングとの出会い

不思議な空手の稽古に参加して衝撃を受けたのが2014年の1月。

そのころになると、整体施術をしていても

「やはり身体だけでなくココロにもアプローチしたい」

という思いが強くなり、心理療法、とりわけ家族療法とかシステムズアプローチとかブリーフセラピーの本をよく読んだ。

もちろん野口晴哉の心理指導潜在意識教育の本も読みこみ研究した。

そんなときに、友人の心理カウンセラーさんが、「新しいことを始める」とFacebookに投稿していた。

それが「タッピング」という手法だった。

タッピングとは1970年代にアメリカで創始された「ツボをトントンと叩いて心身の問題を解決する方法」のことだ。

そのセミナーをやると。

1日10万円する講座だったが、すぐさま申し込みセミナーを受けた。

タッピングの効果は絶大だった。

セミナーを受け、さっそく翌日から使い始めたが、びっくりするほどの効果が出た。

まだアンチョコを見ながらやるようなレベルのタッピングだったが、ぼくのセッションを受けて号泣する人が続出した。

その流れで、ただ整体だけをしていたときには話してくれなかったようなことを話してくれる人も増え、関係性も深まった。

またタッピングは、「相手の悩みを聞かなくとも解決できる」という特徴を持つので、クライアントさんの悩みを知らないままに解決してしまうこともあった。

「〇〇恐怖症」というものには、とくに顕著な効果を発揮して、30年来の高所恐怖症が2回のセッションで、ほぼ改善というケースもあった。

そこで、ぼくはタッピングを教える資格を取得した。

タッピングは2年間で60名くらいに教えることになった。

タッピングを学んで、「心にもアプローチできる!」という自信がついた。

それも、「ツボ」というボディからのアプローチなので、整体の施術とも親和性が高い。

そして、最たるはその即効性。

メンタルの専門家が、

「これまで3か月以上かかっていた症状が15分で改善できるようになった」

と言っていたが、タッピングにはそういう凄さがあった。

「心理の素人」であったぼくでも、学んだ翌日から即効性のある施術ができた。

そして、さらによかったのは「筋肉をゆるめる」ことも効果が高かったことだ。

首に「胸鎖乳突筋」という筋肉があるが、それをゆるめるのがなかなか大変だった。

それがタッピングをすると、その筋肉が一瞬でフニャフニャになる。

胸鎖乳突筋は、心理と関係の深い筋肉なので、「ココロをゆるめる」ことで、その効果が出たのだ。

そうやって現場で研究を重ねながら、「身体と心理の関係」を肌で学んでいった。

そしてついに2014年4月、そういった知識と経験をひとまとめにできる理論と出会うことになるー。

続く